2007-5-20

紹介! モデル 丹羽 一 Part-2

●題 :抽斗(ひきだし)
●文 : SGCの主人
●写真:Kent Hopper

大きい抽斗と、深—い抽斗、どちらの抽斗が優れているか?
答えはどちらでも不正解。
抽斗は「多い」方が便利に決まっている。

大きい抽斗はモノを入れていくうちに重くなって開けづらい。
深い抽斗は、長いものを収納するのには便利かもしれないないが、奥の方にあるものを取り出すのに苦労する。

私はそもそも不純な人間で、例えば何かの技を究極に磨き、遂にその世界では並ぶ者もいないという達人と会ったとしても、もし彼がその技以外には何一つできない人間だったとしたら、「そりゃあそうでしょうよ。それしかできないんだから、それは上手でしょうよ。」と思ってしまう性格だ。
その達人の抽斗は深いかもしれないが、それしか入っていないのだ。

ところが、浄瑠璃の人間国宝で、実はカラオケでB‘Zの歌を完璧に歌いこなした上、日曜大工で自宅を建ててしまって、皿回しも上手く、ボイラー1級免許を持っているなんて人に会ってしまったら、それは後ずさりながら最敬礼してしまう。
要は抽斗が多いのだ。

[全ての画像はクリックで大きくなります]

2003年10月撮影 [CZM No.17]

丹羽さんと初めてご一緒したのは、スーツを商材としたスチルの撮影だった。当然キャリアも十分お持ちの方なので、スーツ着用のポーズをそれぞれ完璧に演じ、クライアントとしては大満足の仕事だった。


2004年8月撮影 某ファッションリーフレットより

その後、CLUBZEROなどでお付き合いが継続することになるのだが、その中で普段着の丹羽さんの写真や、ヒゲを剃っていない写真なども見ることができた。
そうしている内に、「キャリア十分でスマートな物腰のジェントルマンたる丹羽氏は、スーツの撮影に最適の人物だ」と、勝手にこっちが氏を規定してしまっていることに気付いた。


2006年11月撮影[CZM No.50]

それは間違いではないのだが、氏の抽斗はそれだけではなかったのである。
「言ってください。何でもやれまっせ。」
そう、少なくとも私が絡んだ仕事において、丹羽氏が「(イメージ的に)丹羽氏らしい」仕事しかやらなかったのは、こちらの想定の限界がそうであっただけのことで、氏は「こんなことしかやりません。できません。」なんて、一言も言っていなかったのだ。

実は氏には抽斗が多いということに気付いてからというもの、撮影で一緒になるたびに「炎天下のパパを演じてください」
「破産した男の、バーでの光景を撮らせてください」
「ギターを持って弾けてください」
などなど、数々の(従来のイメージを壊して、仕事に差し支える心配をするほどの)難題をお願いするのだが、それらの悉くに氏の抽斗は見事に対応していくことになる。
※ご本人からするとかなり「挑戦」したモノもあったとか…。


2003年5月撮影[CZM No.14]及び2003年8月撮影 他 某ファッションリーフレットより

もし私が映画を撮るなら、丹羽氏主演で マイケルダグラスの「フォーリングダウン」のうようなモノを撮りたい気がする。

決して、「色んな役割を演じることができるから抽斗が多い」というだけの意味ではない。

例えば、ある(スーツ着用の)ポーズに関して一言、二言の要望を出してみると、最初の数ショットはその通りのポーズを取ってくれるのだが、それをこなした後の氏は、全く違うポーズでこちらの意図したモノ以上のショットにしてしまうことがある。
深さも兼ね備えた抽斗でもあるのだ。

スーツを着た氏を前にして、
「さて、じゃあカッコいいショットをいきましょうか。」
なんて、安易でこの上なく漠然とした要望を出したとする。
よく整理された抽斗を次々に開けながら、丹羽氏は「自分にとって」「誰かにとって」「一般的に」「女性から見て」「クライアントから見て」『カッコいい』姿を、独自の表現で次々と提案する。
そして「どれを使うかはアンタ達のセンス。」とばかりに、カメラの前から黙って退く。


某ファッションリーフレットより

それは若輩モノの我々に対する氏の挑戦以外の何物でもない
受けて立とうではないか、それが撮影の現場なのだ。

このオジサンの抽斗のパワーアップはまだ限界が見えない。
これでボイラー免許を取って皿を回されたら、我々としたら一目散に逃げるしかないのだ。

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2007-5-19

紹介! モデル 丹羽 一 Part-1

CZMに参加経験のあるスペシャリストを少しでもここで紹介できれば思い、このカテゴリーを設けました。
できるだけ多くのスペシャリストを紹介できればと思っています。

トップはベテランの男性モデル、丹羽さんです。
一度の更新では、紹介しきれないので数回に分けて更新予定です。
また丹羽さんの紹介は、モデルを目指す人達には参考になる内容も多いので、Work Shopのカテゴリーへも含めました。

さて、
最初に私が丹羽さんと出会ったのは、今から25年以上も前になり、この業界では、年齢もキャリアでも私の先輩にあたります。

当時、私の師匠と丹羽さんは公私ともに交流が深く、この二人に何度も朝方まで大阪市内の飲屋街を連れ回された経験があります。

そんな経験から、現在、カメラマン助手ではなく、カメラマンとモデルという関係でお互いが健康で(笑)、現在でも交流が持てるという事は幸せな事だと感じます。

たまに撮影でお会いできた時には、「もっと動いて動いて!アカンなあ、何年モデルやってんねん!」という冗談に、「すんまへんなあ…もうこれしかできまへんねん…」と返してくれます。

さて、そんな丹羽さん、CZMの第2回目に参加していただきました。
[全ての画像は、クリックすると大きくなります]


2001年10月撮影[CZM No.02]

上は、役者風に撮影。
下は、建築家風、ファッションデザイナー風などの職業キャラを意識しての撮影。

過去の一時期、モデルさん達のアルバム資料写真を年間に数十人撮影していた時期がありました。
その間、モデルさんから色々な悩みを聞きましたが、(一番多かったのが当然、事務所の移籍に関する事だった)「自分の性格はモデルに向いていないような気がする…」という悩みを一部の優秀なモデルさんから聞いた事があります。

そんな事から言えば、この丹羽さんの性格は、決してモデル向きとは言えないでしょう。

しかし、この対象となるモデルというのは、失礼ですが、二流三流も含めた何千人何万人といる一般的なモデルの意味であり、そういう事から考えると、数少ない一流モデルというのは、少し浮いた存在であるがゆえに、一流の素質を持つモデルさんの方が、そういう悩みは多かったはずだ …(笑)…ちょっと説明が難しい。


同、CZM No.02より

要は、モデルという職業を正面から真面目にやればやるほど、一般的なモデルのキャラクターから外れやすく、自分の性格はモデルに向いていないのでは…と感じてしまう。
一口で言えば、ちょっとフツーじゃないと言うことでしょうか。

たぶん一流と言われる多くのモデル(役者、タレント、etc)は、過去にそういう悩みを経験しているのでは…と思います。
この職業が好きなのに、どうも自分だけ浮いている感じがする…、同じ業界の中に友人を作れない、そんな時は、まず自分を信じ周囲を疑ってみる事です。

他とは違うから個性があるのです。
しかし、我々の仕事は一人では成立しない事も事実です。
周囲のスタッフは広い意味で寛大に見守り、気も使いましょう。

勘違いしてはだめです。
モデルという仕事も、他の仕事と同様かそれ以上に努力、研究、練習、etc、が常に必要なのです。

これらは全て丹羽さんから学んだ事です…(^_-)。


2003年9月撮影 [CZN No.16より]
私の好きな1カットです。

丹羽さんは、ミーティーングで一時、ある女性モデルから「アイロンマン」というニックネームを付けられました。
トライアスロンをやっているため、このニックネームは決して間違いではないですが、付けられた意味のアイロンは、普通のアイロンの事であり、それは、撮影時に自分の衣装によくアイロンをかけている姿を見かけるからです。
そして歯磨き魔。撮影での昼食後は必ず歯磨き。

常に新人モデルの心構え…丹羽さんに言える事です。

さて、
次回の更新は、ディレクターYahn氏による丹羽さんへのコメントを中心に更新を予定しております。

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2007-5-11

室内でのスナップ写真

こういう仕事をしていると、仕事に関係なくスナップ写真の撮影を頼まれる事が多い。
というか、最近は仕事で頼まれる事はないけれど、パーティーなどに来賓として招待されても、カメラを持っていないと何をしていれば良いのかわからない。

写真の原点は記録であるなら、スナップ写真は、その基本かもしれない。
大切な事はシャッターチャンスである事は間違いないが、せっかく良いタイミングで撮影してもスナップ写真の撮影現場の環境は複雑なため、予想外に暗くなったり、思い通りの色にならない事が多い。
特に、パーティー会場などの室内の場合、人工光源はアンバー系の色が多く、それにプラスしてカメラ側のフラッシュを使用した場合、その色調は、かなり青く感じる。

結婚式のスナップ写真を見せていただける機会があったので、撮影者の許可をいただき掲載させていただきます。


ストロボを使用していない画像。

明度の問題もありますが、人間の目が感じた以上に、かなりアンバー色が強く写ります。
アンダーぎみになってしまうのは、カメラに内蔵されている露出メーターが、白い壁に影響を受けているからです。
適度なアンバーは、場の雰囲気が出て良いものだと思いますが、強くなると色調がしつこく感じます。


少しアンバー色を補正して、明るくしました。

それぞれ好みの色があるため、どちらが正しいとは言えませんが、 この方が、一般的かも知れません。

式場の中にあったぬいぐるみの人形でしょうか。
同じように色かぶりをとってみました。

このような場合は、比較的単純な色補正でかなりよくなります。

問題は、ストロボ(スピードライト、カメラ付属のフラッシュ)を使用した時です。

普通に撮影すると、こんな感じによくなります。
手前がフラッシュの影響で、本来は正常の色調なのですが青く感じ、奥が赤い色調になってしまいます。
この画像は、外で撮影された画像ですが、室内でも同じような結果になります。
撮影者はそれをを考慮してか、室内では、ほとんどフラッシュを使用していないようでした。
これは、背景の人工光源と前から当てたフラッシュ光の色温度に大きな差があるためです。


これは、画像加工ソフトを使用して、その色調の差をなるべくなくしてみました。
こいう場合は、赤っぽい方が良いとか青っぽいほうが良いとかではなく、まず色調を統一する事が優先だと思います。
しかしこういう加工は、一枚一枚その状況に合わせた加工が必要なので、けっこう手間がかかります。
これを撮影段階で解決するには、フラッシュの前にアンバー系のフィルターを使用して撮影する方法があります。
しかし、濃いフィルターが必要なため、フラッシュの光量が落ち、光量的にかなり不利になります。


教会のスナップ写真ですね。

人の入っていない、こういうカットには、なかなか目がいかないものですが、良い記録写真だと思います。
式を挙げたご本人達には、式場のパンフレット掲載されている教会の写真ではなく、この時のこの状況の教会の写真がきっと大切な思い出のワンカットになります。


少し傾きを修正して、色調を印象深くしました。
特に、建築物などが画面に入っている場合、カメラを極力傾かないように注意して撮影すると、写真に落ち着きができ良さが引き立ちます。
逆に言えば、ほんの少しでも画面が傾いていると、集中して撮影していないように見え損をします。

画像掲載を快く許可いただいきありがとうございました。
お二人が、今後、幸せな家庭が築けるようお祈りいたします。

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